今回は、「ハチミツの抗菌性~その1~」の続きとして、『マヌカハニーの叡智と癌細胞』についてお話しします。
19世紀以降、西洋科学は目覚ましい進歩を遂げ、私たちの生活にさまざまな恩恵を与えてくれました。
一方で自然破壊や環境問題などの副作用も生じています。しかしながら西洋科学は自分自身が生み出したそういった問題ですら自己解決しようとします。それが西洋科学のすごいところだと思います。
西洋科学のおかげで、私たちは自然や宇宙の叡智がいかに人知を超えたものであるかを知ることができます。
西洋科学は、自然の叡智を発見し、分子構造という記号で表現し、そして同じ構造を人工的に作りだすことさえもできます。ビタミンなどがそうですね。ビタミンCの発見、そして分子構造をつきとめ、そしてそれを再現したのが合成ビタミンC。合成ビタミンCはトウモロコシやイモの微生物の反応から生み出されたものです。それゆえビタミンCと言っても今では、その摂取の仕方は二通りあるわけです。食べ物そのものから直接採る場合と合成ビタミンCが入っているサプリメントや飲み物から摂る場合です。どちらが良いか悪いかということをここで議論するつもりはありませんが、身体への吸収率は直接食べ物から摂る方がいいようですね。
人間の知性は、自然というか、神様というか、そういう未知の存在が生み出したビタミンCという物質を見つけ出し、自らの力でビタミンCを作りだすことができるくらいまで発達してきました。これからも西洋科学は自然の中に秘められた叡智をますます解き明かしくれることでしょう。
僕らが取り扱っているマヌカハニーもこの西洋科学のおかげで、様々なことがわかりはじめています。
最初は何か分からなかったけれど、他の蜂蜜に比べてみてはるかに強い抗菌作用や働きがあるため、それを示すものとしてマヌカハニーにはUMFという記号が付けられました。以前のジャーナルにも書きましたが、UMFとはUnique(独特な)Manuka(マヌカ)Factor(要因(はたらき))という言葉の頭文字をとったものです。つまりUMFは「マヌカの独特な働き」です。そしてその後、その強い抗菌作用の成分がメチルグリオキサールであることがドイツの研究者によって突き止められました。
さらに最近の研究ではマヌカハニーにはがん細胞を抑制するような働きがあることさえ分かり始めています。その研究を行ったのがUAE大学(アラブ首長国連邦大学)の研究グループです。UAE大学ではマヌカハニーの癌細胞に対する潜在的な効果についての研究を行い、マヌカハニーが乳房、皮膚、大腸にできた癌性腫瘍の増殖を効果的に抑制することを発見したそうです。詳細は国際科学雑誌「Plos」に掲載されています。この研究を率いたのがアルハマディ教授で、教授はマヌカハニーの癌抑制について次のように述べています。
「チームは研究に3種類の異なる癌細胞(乳癌、皮膚癌、大腸癌)をもったマウスを実験に使用し、僅かな量のマヌカハニー(最少で1%程度)を投与するだけで、癌細胞の成長を最大70%阻止することができることを立証しました」
教授は「マヌカハニーがもつ効能は非常に魅力的な研究分野であり、この研究の成果が特定の種類の癌に対して新たな治療方法を開拓する可能性を感じています」と語っています。
癌は戦後増えた病気の一つで なんと7倍にもなった病気です。今や2人に1人が癌にかかり、3人に1人が癌で亡くなっているとも言われています。自然の叡智である蜂蜜が西洋医学とともに、私たちの生命を活かす力になる日がくることを願ってやみません。その力を発見できるのが西洋科学であると思います。今後の研究に大いに期待したいところです。