HONEY JOURNAL

マヌカツリーについて

2020.05.27 | はちみつ豆知識

この度の新型コロナウィルス対策の一つとして、「殺菌」や「免疫力アップ」というキーワードで、たいへん多くの方々にマヌカハニーを知っていただく事になりました。
しかしながら「マヌカハニー」という言葉だけが一人歩きをして、そもそもは「ニュージーランドにのみ自生するマヌカという木に咲く花の蜜」であることは意外と知られていないことも事実です。
そこで今回は、ハニーマークスのマヌカハニーを輸入してもらっている三幸貿易の伊藤社長に、このマヌカの木、「マヌカツリー」について寄稿してもらいました。

『現在、マヌカハニーは比較的有名になりましたが、その蜜が採れるマヌカツリーについてはあまり知られていません。
ネットで調べると「フトモモ科の常緑低木。英語でTea Tree、日本語ではギョリュウバイ」という説明が書かれています。長らくこの説明が使い回されていますが、この説明は不充分な内容と言えます。

Tea Treeはフトモモ科全般を指しており、アロマ精油のTea Tree等とは別種です。
又、直訳で「お茶の木」と説明される事もありますが、これも全く違います。

ギョリュウバイはその名の通り、梅にも似た紅色の花が美しい樹種ですが、マヌカツリーは白い花が咲く亜種で、ギョリュウバイの中の一種に過ぎません。
そして、何よりも大切なのは、マヌカという名前はマオリ語、ニュージーランドの先住民族が古来大切にしてきた薬木の呼称なのです。

近年、他国でもマヌカハニーと称した安価な蜂蜜が大量生産されていますが、マヌカハニーは「ニュージーランドにのみ自生するマヌカツリーから採れた蜂蜜」です。
マヌカ以外のTea Treeから採れた蜂蜜はTea Tree honeyと書くべきなのです。
但しこれはニュージーランド以外の蜂蜜に効果が無い、という意味ではありません。多くの蜂蜜は大なり小なり効能を持っており、それぞれに利点があります。

ニュージーランドでは長年、マヌカハニーの研究と実証を重ねる事でグレード分けや、使用方法、厳正な検査とそれに基づく品質保証をしてきました。
これらはニュージーランド産ではない蜂蜜には当てはまりません。多くは公正で精密な検査も実施されずに流通しています。

現在、ニュージーランド政府はUMF、MGO以外のマヌカハニーにもマヌカハニー固有の成分が規定値を満たしているかの検査をして、満たさない物はマヌカハニーと呼ぶことを許していません。
この様な厳しい規定はニュージーランド以外にありません。

ニュージーランドのマヌカツリーは野生の為、シーズンは1月の数週間しか無く、採蜜量は天候に大きく左右されます(雨の日はミツバチが飛べない為)。
ここで採蜜量が少ないと一年の収入が激減する養蜂家が大半です。
そんな時期に外国産の安い蜂蜜がマヌカハニーとして海外に出回っていると聞いて、彼らは複雑な思いをしているそうです。

2020年1月のニュージーランドは数年ぶりの好天に恵まれ、マヌカハニーは豊作でした。
皆さんが店頭でマヌカハニーを見かけた時、小さな白い花とマオリ語の由来を思い浮かべて下されば嬉しく思います。  

三幸貿易株式会社 代表取締役 伊藤 謙』

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