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はちみつは「花の蜜」ではない?!

2022.06.04 | はちみつ豆知識

はちみつは「花の蜜」ではない?!のイメージ画像

はちみつ ≒ 花の蜜

幼い頃などに、レンゲやツツジの花の蜜を直接吸った経験がある方は想像できると思いますが、一つの花を直接吸って味わえる蜜はほんのわずかです。
そのため、長い間「はちみつは、蜜蜂が花の蜜をがんばって集めて、一度に食べられるようにしてくれたもの。」と何の疑いも持っていませんでした。
それが正しい認識ではないと知ったのは、ずいぶん大人になってからのこと。

はちみつの元が「花の蜜」であることには間違いありません。
ただし、「花の蜜」そのままではなく、「花の蜜」と「蜂蜜」は全く別のものなのです。

はちみつができるまで

① 外勤蜂(働き蜂)が、花から吸った蜜をお腹に溜めて巣に戻ってくる。この時点の密は水っぽく糖度は10〜20% 程度。

② その蜜を、巣にいる内勤蜂とやり取りすることで酵素を含んだ分泌物と混ざり合い、蒸発を繰り返して、水分量35〜40%、糖度40%程度になるまで凝縮される。

③ 蜜を巣の小さな部屋に溜めて、巣のなかの暖かく乾いた空気でさらに水分量20%以下、糖度80%程度になるまで熟成させる。

④ はちみつが完熟したら蜜蝋で蓋をして、周囲からの水分の吸収や発酵を防ぐ。

こうして、蜜蜂に必要不可欠な貯蔵食品としてはちみつは完成します。
はちみつができるまでの過程を知ると、どうして花から直接吸った蜜よりもとろりと粘度がたかくて、濃厚な甘さなのかよく理解できます。数値で見ても、はちみつの水分量が20%程度なのに対して、花の蜜は55~80%とさらさらです。

花の蜜とはちみつの違い

また、原料である花の蜜と蜜蜂の持つ酵素によって作られる「はちみつ」は、熟成していくなかで、濃度と味が凝縮されるだけでなく、その成分にも大きな違いが生まれます。

花の蜜が持つ糖の種類と量は、植物によってまちまち。それが、はちみつになるとどの植物の蜜が元でもほぼ同じような成分構成に変化します。Ph値も花の蜜は中性に近い5.1、はちみつは酸性に近い3.1。つまり、花の蜜がはちみつとして熟成されていくなかで、物質的にも化学的にも変化が起こって適度に調整されているというのです。

フレーバーの違いを楽しむ

では、はちみつはどれも同じ味かというと、そうではありません。はちみつの元となる植物によって、それぞれ特有の風味や色味を持っています。

「はちみつ≒花の蜜そのもの」だからこそ、レンゲやアカシア、クローバーといった馴染み深いはちみつだけでなく、やや珍しいレモンやオレンジ、ラベンダー、りんご、栗、コーヒーなど、果物・花の香りや蜜の味を想像しながら、さまざまなフレーバーを試してみるのも楽しいかもしれません。

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